人生はどこへいく?
水面
覗き穴
タマある視点部門
恋愛も執筆も、すべてに行き詰まってしまった小説家・荒木。 八方塞がりな男の目を通して今を生きる人々を描き出すメタファンタジー" 私 "映画ーーーー

監督:鈴木宏侑 脚本:新井秀幸

キャスト:新井秀幸 和座彩 錫木うり 橋本つむぎ 柳谷一成
金谷真由美 池内明世 野呂健一 鍛代良 久保田翔
萩原正道 大城義弘 河北琴音 石田健太

2023年11月25日(土)
ユーロスペースにてロードショー


小説家を巡る
3つの人生混迷展望

かつては注目されていた小説家の荒木は知り合いの女性と飲みに行ったり、日々題材を探して街を歩いていた。

ある日帰宅すると、別れた筈の恋人が現れて、うんざりした荒木は部屋を出て行く。そんな荒木を他所に地球はいつも通りに回っている。

妹の就職祝いのため、久方ぶりに帰省するつくしとその彼氏。母とは喧嘩別れして以来の再会であったが、思わぬ来訪者が現れる。

仲睦まじい夫婦の真二と陽子は妊活を始めると、ある事実が発覚する。真二は真相を確かめようと、故郷である宇和島へ旅立とうとする。

その頃、決意を新たにした荒木は執筆を続けてていくが、 自身の現状を反映したかのように小説もまたこんがらがり、停滞していくのであった・・・ 。

INTRODUCTION 俳優の身体と、劇中の人々が
いきいきと、呼応する。

今企画は、実験的に撮影された、即興演技、即興演出を基にした短編映画『KIRO』2020 に端を発しており、ありきたりの演技、描写を避け、俳優の生々しい姿をフィルムに記録することを目的として始まった。

俳優たちには、自身の特性を加味したキャラクターを用意し、多くのシーンでは枠組みと状況のみが与えられ、台詞や動きなどの制限のない状況下で、キャラクターとして生きることを求められた。

こうして撮影されたシーンを、群像劇として紡いでいき、更に長編映画としての完成度、物語の意味性を高めるために、追加シーンの撮影、編集を幾度も経て、作品の解体、構築を繰り返し完成へと導くことができた。

恣意的でありながらも、古今東西のフィルムメーカーと映画への敬意と憧憬が散りばめらた映画としてここに誕生した。 

D I R E C T O R

 鈴木宏侑 スズキ コウスケ

  • 2018監督作品

    『安楽椅子探偵』

    48hfp TOKYO2018/脚本賞
  • 2019太田信吾共同監督

    『ラウンド トリップ ディレイ』

    第15回札幌国際短編映画祭ジャパンパノラマ
  • 2021監督作品

    『KIRO』

    小布施映画祭 俳優賞:輝蕗
  • 2021監督作品

    『ちょこちょこ』

    神戸インディペンデント映画祭2021企画賞
  • 2021監督作品

    『光の窓』

    神戸・元町映画館10周年企画短編オムバス作品
  • 助監督

    『タイトル、拒絶』(監督:山田佳奈)

  • 照明部

    『ハーメルン』(監督:坪川拓史)

  • 照明部

    『鈴木さん』(監督:佐々木想)

  • 撮影部

    『僕の帰る場所』(監督:藤元明緒)

  • 出演作

    『未来の記録』(監督:岸建太朗)

  • 出演作

    『デルタ』小川国夫原作の一編『誘惑として、』(監督:与那覇政之)

  • 出演作

    『ふきだまりの女』(監督:安藤ボン)

  • 出演作

    『解放区』(監督:太田信吾)

  • 出演作

    『Noise』/『日本製造/メイド・イン・ジャパン』(監督:松本優作)

  • 出演作

    『種をまく人』(監督:竹内洋介)

  • 出演作

    『ミッドナイトスワン』(監督:内田英治)

C A S T

 新井秀幸 あらいひでゆきスランプ中の小説家 荒木

1981年生まれ 愛知県出身。
2007から俳優活動を始め、以後気鋭の監督の作品に出演する。

  • 2023脚本作品

    『自転車にのって』田中聡監督

  • 出演作

    『最低』今泉力哉監督

  • 出演作

    『FIT』廣末哲万監督

  • 出演作

    『激写!カジレナ熱愛中!』安川有果監督

  • 出演作

    『タクシー野郎 昇天御免』川田真理監督

  • 公開予定出演作

    『テン•ストーリーズ』宮崎大祐監督総監修オムニバス作品『Poltergeist』山西竜也監督

  • 公開予定主演

    『ペインと愛と望』佐野竜馬監督

  • 公開予定出演作

    『ゴールド』知多良監督

  • 公開予定出演作

    『曖昧な楽園』小辻陽平監督

  • 公開予定出演作

    『フライガール』福嶋賢治監督

 和座 彩 わざ ひかり荒木の元カノ  

千葉県出身。 渡辺プロダクションの養成所で演劇を学び、卒業公演では主演を務めた。
早稲田大学在学中に日本舞踊と出会い、坂東流日本舞踊名取の資格を持つ。
今後は女優、アーティストとしての活動も行う予定で、デビューに向けて準備中である。
7月に映画「虹のかなたへ」クランクイン予定。

 錫木うり すずきうりイラストレーターの女  鈴村

映画を中心にドラマやCM、モデルとして活動する。テレビでは、BS-TBS ドラマ「サワコ~それは、果てなき復讐」、映画出演は、園子温監督「エッシャー通りの赤いポスト」、土井笑生監督「衝動」(ユウコ役)ほか多数。そのほか、sleepy head「君は僕の代わりに誰を抱く」、清竜人「愛が目の前に現れても僕はきっと気付かず通り過ぎてしまう」のMVに出演。2023年秋に初主演映画が公開予定となっている。


 鍛代良 きたいまこと妊活中の夫  
真二

神奈川県出身。
自主映画から商業作品まで映像を中心に活動している。海外に約三年滞在経験があり、そのうちの八か月を南米でバックパッカーする。小柄で唯一無二の個性を生かし、そのキャラクター性から繊細な芝居まで幅広く演じ、今作品においてもその個性を発揮している。近年の主な出演作品に『ラーゲリより愛を込めて』『この子は邪悪』『妖怪シェアハウス』『エッシャー通りの赤いポスト』など。

 久保田翔 くぼたかける真二の妻  
陽子

1990年 福岡県出身
ノックアウト アクターズラボ /ノックネクスト卒業。現在はフリーで活動中。会社員として働いていた中で、ふいに演じることへの興味が溢れに溢れ今に至る。自分の声を「探す」過程で「めためた」という作品と出逢う。

主な出演作
映画「糸」(瀬々敬久監督)
舞台「海辺のバカ」(作・演出:加藤一浩)、舞台「黙読」(作・演出:加藤一浩)、舞台「レイチェルの説明」(作・演出:加藤一浩)

その他CMドラマ映画多数


 橋本つむぎ はしもとつむぎ父を待つ娘  
つくし

1996年、東京都出身。 高校在学中に舞台へ出演し、以降俳優として活動。劇団俳優座の研究所を経て、2019年映画『愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景vol.1』(監督:越川道夫)でスクリーンでデビュー。

主な出演作に、映画『さがす』(監督:片山慎三)、映画『背中』(監督:越川道夫)、映画『よく見れば星』(監督:森美春)、映画『風の吹くまま』(主演)(監督:呉楽)など。

 柳谷一成 やなぎたにかずなりつくしの彼氏  
柳家仁

1989年、長崎県生まれ。専門学校卒業後、一度就職するが俳優への興味が芽生え、退職し上京。UPSアカデミーに入所し、俳優の修練を積む。卒業後は、インディーズ映画を中心に活動。近年は、主演した長編映画「まっぱだか」(監督:安楽涼、片山享)が22年5月に新宿・ケイズシネマにて上映、23年6月には出演した「いっちょらい」(監督:片山享)、「ピストルライターの撃ち方」(監督:眞田康平)の2作が公開されるなど注目度を増している。

 池内明世 いけうちあきよつくしの妹  
サチ子

フリーランスで活動中。滋賀県出身。2001年1月17日生まれ。

【出演作品】
フジテレビ「スカッとジャパン」、MV halca 「放課後のリバティ」、CM 「ハミングファイン」etc…

 金谷真由美 かねたに まゆみつくしの母  
ミツ子

大阪出身。演劇を皮切りに活動を始め、「城山羊の会」など、多くの舞台を踏む。近年は、映像作品を中心に活動している。

【出演作品】
〈映画〉『きのう何食べた?』『シュシュシュの娘』『夜明けの夫婦』など
〈ドラマ〉TBS『Get Ready!』NHK『大奥』WOWOW『鵜頭川村事件』日テレ『ネメシス』など

▶︎所属事務所ハイエンド

 野呂健一 のろけんいちトレーナーの先生  
野比健二

98年芸人養成所を中退後、演劇活動をしつつ、11年「市民ポリス69」(本多隆一監督)、12年「あの女はやめとけ」(市井昌秀監督)、20年「黒猫銀座物語」(カンテレ)等の映像作品に出演。現在は、たまに活動している。

R E V I E W

『めためた』とは、メタフィクションの合わせ鏡のことなのだろうか。

とにかくここでは、めためたな修羅場が三つ描かれる。三重奏とも言えるし、シークエンスのマイクリレーとも呼びうる。ヒエラルキーはない。それぞれの修羅場は位相が異なり、それぞれのはちゃめちゃさがあり、それぞれの深刻さがあるからだ。

どんな修羅場も、シリアスでありながら、たぶん同じくらいのファニーを含有している。そして、それはポジショニングによって、いとも簡単に反転してしまうものなのだという現実に、気づかせてくれる。望んでいようがいまいが、物事にはポジションというものがあり、立ち位置によって、気分は変わる。

決定されているものなど何もない。ポジションは移行する。だから、支配したり、支配されたり、そのどちらかに固執する必要もない。ある一時(いっとき)の中で、嵐になったり、雷が鳴ったり、お天気雨になったりする。結局は通りすぎてしまうものだから、かけがえがない。二度とは再会できない、人生の美味しさ。

好きな中華料理店の「よだれ鶏の3段活用」というメニューをおもいだした。まず、鶏を食す。その後、残ったタレに餃子をつけて食べ、最後に麺を投入していただく。どれも美味しいが、タレの辛さ・旨みは共通している。具とポジションが変奏されているだけのことなのだ。

映画全篇がちょっとした川下りのように、あるいは周遊船のように紡がれているが、人生というタレの辛さ・旨みの只中で気ままにさすらっているようにも思える。

晴天の土砂降りに、あなたは何を見るだろうか。光? それとも影? 光が強ければ影は深くなり、影があるということは光があるということ。それだけのこと。明るさも、暗さも、ただどちらかだけを見ているだけにすぎない。

のんびり気楽にやろうぜ。明るくも暗くもなく、ただ終わっていくだけのラストに、プライスレスな満足感が豊かに滲む

相田冬二(Bleu et Rose/映画批評家)

俳優たちは覚えたセリフではなく、
その場の反応で対話をしている。
極めてリアルである。 それだけじゃない。
めためたな恋愛劇のリアルがメタなのだ。
面白かったです。 山内ケンジ(城山羊の会・映画監督)

修羅場でダンスする。 修羅場がダンスする。 ダンス・ダンス・ダンス。 映画進化のトランスフォーメーション!!! 相田冬二(Bleu et Rose/映画批評家)

挑戦していると思った。 メタな映画で、めためたになってもいい。 そんな作り手の気概が伝わってくる。 静謐で緊張感ある始まりから、俳優たちの自由なやりとり、 そして一切合切をとり払うかのように突き抜けるダンスシーン、
嗚呼、これはもう紛れもなく映画なのだ。 瀬々敬久(映画監督)

とっても面白くて正直びっくりしました。 ホン・サンス師匠に観せちゃったら
実際笑ってくれるかも。
「人生は動く影、所詮は三文役者」
(シェイクスピア)。
これが本当にめためたに映っている喜劇が
『めためた』です。

森直人(映画評論家)

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予告映像